【参考資料】これまでの新燃岳の噴火について

はじめに

このページでは、霧島山の新燃岳がこれまでにどのような活動をしてきたかについて、学術論文や報告書などのデータ・記述をもとに情報を整理しています。内容については随時更新していきます。

1 江戸時代以降の新燃岳の噴火推移について

江戸時代以降の霧島山新燃岳の噴火推移にはいくつかのパターンが見られます。いずれも小規模な噴火で始まりますが、そのまま終了する場合と、大量のマグマが出る場合があります。また、後者は本格的な噴火(多量の軽石を噴出)に至る場合と、軽石をほとんど出さずに溶岩が出る場合があります。

①小規模な噴火→終了
・1822年噴火(文政噴火)、1959年噴火、1991~1992年微噴火が該当します。

②小規模な噴火→本格的なマグマ噴火→溶岩噴出→単発の爆発の繰り返し→終了
・1716~1717年噴火(享保噴火)と、記憶に新しい2011年噴火がこの経過をたどりました。ただし、享保噴火で溶岩が出たかどうかについてははっきりとは分かっていません。
・最も被害が大きくなるのがこのパターンです。
・過去の噴火では、小規模な噴火から本格的な噴火へは顕著な前触れ(火山性地震の増加など)がないまま移行したことが知られており、留意すべき点だと思われます。

③小規模な噴火→溶岩噴出→単発の爆発の繰り返し→終了
・2018年噴火でもマグマが噴出しましたが、そのほとんどが軽石ではなく溶岩として静かに流れ出ました。
・その後の経過は2011年噴火とほぼ同じです。

参考文献
井村隆介・小林哲夫(1991)霧島火山群新燃岳の最近300年間の噴火活動. 火山, 36, 135-148.
及川輝樹・筒井正明・大學康宏・伊藤順一(2012)文献史料に基づく江戸期における霧島火山新燃岳の噴火活動. 火山, 57, 199-218.
田島靖久・林 信太郎・安田 敦・伊藤英之(2013)テフラ層序による霧島火山,新燃岳の噴火活動史. 第四紀研究, 52, 151-171.
産業技術総合研究所(2018)1716-1717 年噴火(享保噴火)の推移と2011 年,2018 年噴火. 火山噴火予知連絡会第一回霧島部会(平成30年7月24日).

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ページ作成:2025年6月29日
最終更新日:2025年6月29日