食・特産品

霧島ジオパークの大地の大半は、火山噴出物が堆積した土地(シラス台地など)です。水はけがよいため保水性がなく稲作には適さないことから、不毛の地というイメージもあります。しかし、この地に住む人々は昔からその環境をうまく利用して特産品に活かしてきました。

サツマイモ(唐芋)

江戸時代に琉球から日本にわたってきたといわれるサツマイモ(唐芋)は、シラス台地が広がる南九州で盛んに栽培されてきた作物です。地域に深く根付いているサツマイモを使った食文化は、「がね」や「ねったぼ」といった郷土料理のほかに、芋焼酎などの特産品も生み出しました。黒豚など家畜の飼料としても使われており、南九州の食文化を語る上でなくてはならないものとなっています。
がね
サツマイモ(唐芋)

霧島の茶畑
緑茶
お茶の栽培には温暖な気候で水はけのよい土壌が適していることから、お茶もシラス台地などといった火山性土壌の特徴とうまく調和した作物です。また、シラス台地が形成する広大で平坦な土地はお茶を大量に栽培するのに適していたため、機械化も進み一大産地となっています。

食肉

南九州は牛や豚、鶏といった畜産が盛んで日本における食肉の一大供給地域となっており、宮崎牛や鹿児島黒豚など全国的に有名なブランドも多くあります。畜産はシラス台地といった米づくりに向かない土壌であってもできたことや、たくさんとれるサツマイモが家畜の良い飼料になったことなどもあり、盛んに行われるようになりました。
黒毛和牛のステーキ
地鶏の炭火焼き

芋焼酎

芋焼酎
様々な銘柄の焼酎をつくっています
南九州は米づくりに向かない火山性土壌が多かったことや、日本酒づくりには向かない温暖な気候でした。そのような環境で生まれたのが、たくさんとれるサツマイモを原料とした芋焼酎であり、今では南九州を代表する食文化のひとつとなっています。霧島ジオパークエリア内でも多くの酒造メーカーがこだわりの製法で様々な銘柄の焼酎をつくっています。

黒酢

霧島市福山町の海沿いを通ると目に入ってくる黒酢の壷畑。この黒酢は、陶器の壷に蒸し米、米麹、地下水を仕込み、太陽熱などの自然の力だけで発酵・熟成させて作られるものです。壷畑はいわゆるシラスを噴出した姶良カルデラの壁の麓に多くみられますが、これはこの地域が冬に北風を受けにくく、日当たりのよい場所でもあるため気候が温暖であり、近くに豊富な湧き水があったからこそ生まれたものです。
黒酢
黒酢の壷畑

淡水魚の養殖

川魚料理
チョウザメの刺身

霧島山周辺では、豊富できれいな湧水を利用した淡水魚の養殖が行われています。昔から地域で食べられている鯉をはじめ、最近ではチョウザメやご当地サーモンといった新しい魚種の養殖も盛んとなっています。

霧島ジオパークエリアを広く覆う火山性土壌は水を通しやすく、地下に浸み込んだ大量の雨水などが麓で湧水となって湧き出しています。その過程で多くのミネラルを取り込み、名水といわれるおいしい水になります。芋焼酎や黒酢の製造、淡水魚の養殖などが盛んになったのも、火山がもたらす豊かで清らかな水があったからにほかなりません。
丸池湧水(湧水町)
大出水の湧水(霧島市)